ヴィンテージのグランドセイコー セカンドに、ダークネイビーのワニ革ベルトを製作しました。今回のご依頼の要点は、時計に付属していたオリジナルのピンバックル(尾錠)をそのまま使い続けることです。
ヴィンテージGSのオーナー様からは「ベルトは新しくしたいが、当時の尾錠は残したい」というご相談をよくいただきます。この記事では製作の内容とあわせて、オリジナルの尾錠を再利用するときに確認しておきたい寸法と注意点をまとめました。
この記事でわかること
- グランドセイコー セカンドに合わせたダークネイビー ワニ革ベルトの実例
- オリジナルのピンバックルを再利用するときに確認する5つのポイント
- 時計を預けずに相談を始めるために準備したい情報
目次
今回の製作内容
グランドセイコー セカンドとはどんな時計か
「グランドセイコー セカンド」は、1964年に発売された「GSセルフデーター」の呼び名です。グランドセイコーの第2世代にあたることから、こう呼ばれています。初代モデルに日付表示などを加え、実用性を高めたモデルです。
初期のグランドセイコーらしく、太く存在感のあるラグと、鏡面を生かしたケースが特徴です。ただしヴィンテージモデルは、年代や個体によって仕様や状態が異なります。そのためベルトの製作では、一般的な数値ではなく、お客様の時計そのものの寸法を基準にしています。
こうした時計の場合、ベルトはケースの存在感と釣り合う幅・厚みを持たせつつ、60年代らしい落ち着きを壊さないことが大切です。
オリジナルのピンバックルを再利用するときの確認ポイント
ヴィンテージGSのオリジナル尾錠は、時計と同じ時代を過ごしてきた部品です。再利用する価値は大きい一方で、新しいベルトとの組み合わせでは次の点を確認する必要があります。
尾錠幅とベルト剣先側の幅
革ベルトは、ラグ側の幅から尾錠側の幅へ徐々に細くなるのが一般的です。オリジナルの尾錠を使う場合は、まず尾錠の内側の幅を測り、ベルトの尾錠側の幅をそれに合わせます。
ラグ幅と尾錠幅の比率で、ベルトの見え方も変わります。差が大きいとすっきりしたドレス寄りの印象に、差が小さいと力強い印象になります。
つく棒の太さと穴の大きさ
つく棒(尾錠の針)の太さに対して穴が小さいと、留めにくく、穴まわりの革に負担がかかります。反対に穴が大きすぎると、見た目が粗くなります。オリジナルの尾錠を使う場合は、つく棒の太さに合わせて穴の大きさを決めます。
尾錠枠の高さとベルトの厚み
尾錠をベルトに取り付ける部分は、革を折り返して二重になります。ワニ革のように厚みのある素材では、この部分が尾錠枠に収まるかどうかを確認します。厚すぎると尾錠が傾いたり、つく棒の動きが重くなったりすることがあります。
尾錠の取り付け方法と状態
尾錠をベルトに留める部品(バネ棒など)の種類や長さは、尾錠によって異なります。また、長年使われた尾錠は、取り付け部分の摩耗やバネ棒の劣化が見られる場合があります。再利用の前に、尾錠本体と取り付け部品の状態も確かめておくと安心です。
尾錠の位置と長さのバランス
尾錠の位置が手首の中心から大きくずれると、見た目と着け心地の両方に影響します。手首周りと現在のベルトの長さを確認し、12時側・6時側の長さを決めます。
お手持ちの純正尾錠を再利用したい場合は、時計と尾錠の写真をLINEでお送りください。形状や寸法を確認し、製作可能な仕様をご案内いたします。
ダークネイビーのワニ革を選ぶ理由
ダークネイビーは、室内では黒に近く落ち着いて見え、自然光の下では紺色の深みが出る色です。ブラックほど硬くならず、ブラウンとも違う印象になるため、ヴィンテージ時計に少しだけ新しさを加えたい方に選ばれています。
ワニ革は斑(ふ)の表情で、無地の革にはない立体感が出ます。ヴィンテージGSの端正な文字盤やケースとも合わせやすく、時計の印象を崩さずに上品にまとまります。
文字盤と革の色の組み合わせは、文字盤に合わせた革ベルトの色選びで詳しく紹介しています。
製作のポイント
JLC HandMadeでは、これまでにも45GSなどのヴィンテージGSや、純正バックルを使うベルトを製作してきました。
ヴィンテージ時計と純正尾錠の組み合わせでは、同じモデル名でも個体ごとに寸法や状態が異なります。そのため当店では、カタログ上の数値や過去の製作例の寸法をそのまま使うことはしません。お客様からお送りいただいた時計・尾錠の写真と寸法を基準に、一本ずつ仕様を決めています。今回もこの手順で、オリジナルの尾錠に合わせて製作しました。
完成後、お客様から装着写真をお送りいただき、仕上がりにご満足いただけたとのお声をいただきました。
ヴィンテージGSのベルト交換をご相談いただく前に
オリジナルの尾錠を使う場合は、次の情報があると確認がスムーズです。
- 時計本体とラグ部分の写真
- 使用予定の尾錠の写真(正面・側面)
- ラグ幅、尾錠の内側の幅
- 現在のベルトの長さ(12時側・6時側)と手首周り
寸法は、ほかの時計や一般的な数値ではなく、お手元の時計と尾錠で測った値をお知らせください。多くの場合、時計や尾錠をお送りいただかなくても、写真と寸法から確認を始められます。構造が特殊な場合など、必要なときだけ実物の確認をお願いしています。
モデル別の素材選びや、純正三つ折れバックルを使う場合の長さについては、グランドセイコー用オーダーメイド革ベルトのご案内をご覧ください。
よくある質問
ラグ幅はどこを測ればよいですか?
ラグ(ベルトを取り付ける脚)の内側から内側までを測ります。ヴィンテージのグランドセイコーは年代や個体によって寸法が異なるため、ほかの時計の数値を参考にせず、お手元の時計を実測してください。測り方が分からない場合は、写真を送っていただければご案内します。
オリジナルのピンバックルはそのまま使えますか?
多くの場合は使えます。尾錠の内側の幅、つく棒の太さ、取り付け部品の種類と状態を確認したうえで、それに合わせてベルトを製作します。
時計を送らないとオーダーできませんか?
通常は、写真と寸法の確認から始められます。写真だけで判断が難しい場合に限り、実物の確認をご相談しています。
ピンバックルと純正三つ折れバックルでは何が違いますか?
三つ折れバックルを使う場合は、バックル側のベルトを短く作るなど、長さの考え方が変わります。詳しくはグランドセイコー用革ベルトのページで解説しています。
ワニ革ベルトを長く使うために気をつけることは?
汗や水分が付いたら早めに拭き取り、風通しのよい場所で休ませることが基本です。お手入れの方法は革ベルトのお手入れガイドをご覧ください。
まとめ
ヴィンテージのグランドセイコーでオリジナルの尾錠を残したい場合でも、尾錠幅・つく棒・厚み・長さを確認すれば、尾錠に合わせた革ベルトを製作できます。
お手持ちの尾錠が使えるか気になる方は、時計と尾錠の写真をLINEでお送りください。仕様が決まっている方は簡単オンライン見積から、実物を見ながら相談したい方は東大阪ショールームもご利用いただけます。
