カルティエ タンク シノワーズに、ダークパープルのワニ革ベルトを製作しました。ステッチはピーコックブルー、バックルはお客様がお持ちのカルティエ純正の片側折りたたみDバックルをそのまま使っています。
タンクのベルト交換では、色や素材よりも先に「厚み」が問題になります。時計側の取り付け部分にはすき間の余裕が少なく、純正の折りたたみバックルもベルトの厚みに合っていないと使えないためです。この記事では、今回の製作で厚みをどのように考えたかをご紹介します。
この記事でわかること
- タンク シノワーズ用ダークパープル ワニ革ベルトの製作事例
- タンクのベルト交換で厚みが重要になる2つの理由
- カルティエ純正の片側折りたたみDバックルを使い続けるための考え方
目次
今回の製作内容
- 時計
- カルティエ タンク シノワーズ
- 素材
- ワニ革
- 色
- ダークパープル
- ステッチ
- ピーコックブルー
- バックル
- カルティエ純正 片側折りたたみDバックルを再利用
- バネ棒
- クイックリリースバネ棒
タンク シノワーズとはどんな時計か
タンク シノワーズは1922年に誕生したモデルで、中国寺院の門(ポルティコ)から着想を得たデザインが特徴です。ケースの上下に配された横方向のバーが、門の梁のような印象をつくっています。
タンクの中でも登場の機会が少なく、2004年の「コレクション プリヴェ カルティエ パリ(CPCP)」、2022年の「カルティエ プリヴェ」などで復刻されてきました。そのため、お持ちのタンク シノワーズが製造された年代やシリーズによって、ケースの大きさや仕様が異なります。ベルトを作る際は、モデル名だけで判断せず、お手元の時計そのものを基準にすることが大切です。
タンクのベルト交換で厚みが重要な理由
今回のご依頼で特に注意したのは、ベルトの厚みです。理由は時計側とバックル側の2か所にあります。
時計側:取り付け部分のすき間が狭い
カルティエ タンクは、ベルトを取り付ける部分のすき間に余裕が少ない構造です。一般的な厚みで作られた市販のベルトでは、取り付け部分が入らない場合があります。無理に取り付けると、ケースに負担がかかったり、ベルトの根元が浮いて見えたりする原因になります。
バックル側:純正の片側折りたたみDバックルに合わせる
折りたたみDバックルは、ベルトを金具の中に通して留める構造です。ベルトが厚すぎると金具に収まらず、バックルが閉じない、または留めにくくなります。反対に薄くしすぎると、金具に挟まれる部分の強度が足りず、耐久性が落ちてしまいます。厚すぎても薄すぎても使えないため、バックルに合わせた調整が欠かせません。
お手持ちのカルティエ純正バックルを使い続けたい場合は、時計とバックルの写真をLINEでお送りください。構造を確認し、製作可能な仕様をご案内いたします。
製作のポイント:場所ごとに厚みを変える
今回のベルトは、1本の中で場所ごとに厚みを調整しています。時計側の取り付け部分は、タンク シノワーズのケースに収まるよう薄く仕上げました。一方、バックル側はカルティエ純正の片側折りたたみDバックルに合わせて、留めやすさと耐久性を両立できる厚みにしています。
この調整は、どの程度まで薄くできるか、どこから厚みを戻すかの判断に経験が必要な部分です。JLC HandMadeでは、これまでにもタンク用の折りたたみバックル対応ベルトや、サントス デュモン用の薄型仕上げなどを製作してきました。今回もその経験をもとに、問題なく製作できました。
なお、寸法はカタログ上の数値や過去の製作例をそのまま使うことはしません。同じタンク シノワーズでも年代や個体によって違いがあるため、お客様からお送りいただいた時計・バックルの写真と寸法を基準に、一本ずつ仕様を決めています。
ベルトの裏側には、工具を使わずに着け外しができるクイックリリースバネ棒を取り付けています。
ダークパープルとピーコックブルーの組み合わせ
ダークパープルは、落ち着いた深みの中に華やかさがある色です。黒やブラウンほど定番ではありませんが、タンク シノワーズのような装飾性のあるドレスウォッチには、個性を出しつつも上品にまとまります。
ステッチには青緑系のピーコックブルーを選んでいただきました。紫と青緑は互いを引き立て合う組み合わせで、ベルトの輪郭に軽やかなアクセントが加わります。完成後、お客様からは装着写真とともに、仕上がりにご満足いただけたとのお声をいただきました。
文字盤やケースに合わせた色の選び方は、革ベルトのカラーコーディネートで紹介しています。
タンクのベルト交換をご相談いただく前に
純正バックルを使う場合は、次の情報があると確認がスムーズです。
- 時計の正面と、ベルトの取り付け部分がわかる写真
- 使用予定のバックルの写真(開いた状態・閉じた状態・側面)
- お手元の時計で測ったラグ幅と、バックルの幅
- 手首周りと、現在のベルトの長さ(12時側・6時側)
寸法は、ほかの時計や一般的な数値ではなく、お手元の時計とバックルで測った値をお知らせください。多くの場合、時計やバックルをお送りいただかなくても、写真と寸法から確認を始められます。
タンク用ベルトのご注文はカルティエ タンク用オーダーメイド革ベルト(折りたたみバックル対応)から、カルティエのバックルの種類についてはカルティエのご注文ガイドをご覧ください。
よくある質問
タンク シノワーズに市販のベルトは取り付けられますか?
取り付け部分のすき間に余裕が少ないため、一般的な厚みのベルトでは入らない場合があります。購入前に、お手元の時計で取り付け部分の状態をご確認ください。
カルティエ純正の折りたたみDバックルはそのまま使えますか?
多くの場合は使えます。バックルの写真と寸法を確認し、バックルに収まる厚みでベルトを製作します。厚みが合っていないと、バックルが閉じない、または耐久性が落ちる原因になります。
時計やバックルを送らないとオーダーできませんか?
通常は、写真と寸法の確認から始められます。写真だけで判断が難しい場合に限り、実物の確認をご相談しています。
クイックリリースバネ棒とは何ですか?
バネ棒に小さなレバーが付いていて、工具を使わずにベルトを着け外しできる部品です。ベルトを付け替えて楽しみたい方に便利です。
ほかのタンク(マスト、ソロ、ルイ カルティエなど)でも製作できますか?
製作しています。モデルによって取り付け部分やバックルが異なるため、同じように時計とバックルの確認から始めます。詳しくはタンク用オーダーメイド革ベルトのページをご覧ください。
まとめ
タンク シノワーズのベルト交換では、時計側の取り付け部分とカルティエ純正の折りたたみDバックルの両方に合わせて、厚みを調整することが大切です。厚みが合っていれば、純正バックルを使い続けながら、色や素材で自分らしい一本を楽しめます。
一般的なベルトが取り付けられなかった時計については、他店で断られた時計ベルト製作もご覧ください。
お手持ちのタンクと純正バックルに合うベルトが作れるか、まずは写真でご相談ください。仕様が決まっている方は簡単オンライン見積から、実物の革を見ながら選びたい方は東大阪ショールームもご利用いただけます。
